日本農業は何故輸出できないのか?現場から見てきたその3つの要因

   

日本農業は何故輸出できないのか?現場から見てきたその3つの要因

本日の日本経済新聞に、こんな記事が出ていました。

日の丸農業いざ海外 本気の輸出はこう取り組む

http://www.nikkei.com/article/DGXMZO16453000W7A510C1000000/

これに関して、思わず黙っていられなかったので、Newspicksにてこんなコメントをしてしまいました。

見出しだけで読む気が失せたけど、突っ込まずにはいられなかったので現場サイドからの意見です。

まず長野の知人リンゴ農家でベトナムに出した人の話では「(手続きなどで)面倒くさい割にそれほど儲からない」。やる気のある若手は、土地が集まらないので輸出よりも国内市場のシェアを取ろうとしています。これから年寄りがいなくなっていくから尚更。

続いて人が重要なのは言うまでもないが、何の実績もない私のような人間でも、香港でイチゴ栽培したり、知人のツテを辿ってアジアにビジネス展開ができる下地作りぐらいならできる。わざわざ帰国子女なんて頼らなくても、泥臭く根性で何とかできる可能性はある。

しかし4年前にカンボジアでハーブで起業した女性の所から聞いた話では、「既に鳥取のJAが視察に来て『こういうところで仕事したいですねぇ〜』と言ってたけどそれっきり」。ベトナムで聞いた話と同じく、100人視察に来て進出するのはただ一人。そういう状況。
香港などでの催事に補助金使って日本からわざわざ持っていって、「リンゴが4つ売れました!」と言って観光して帰ってくるような事例ばかり。覚悟がない。

そうこうしているうちに、知財でも遅れを取って中国に品種をパクられるけど、問題なのは「日本の価値が下がる」ことではなく、「フジのように低品質低価格の商品でアジアのマーケットの棚が抑えられてしまうこと」。いつまで同じことを繰り返すのか。

日本企業だからって日本のコメを使ってくれると思うのかもしれないが、ベトナムで現地の知り合いに食べさせてもらった中粒種のコメを日本の炊飯器で炊いた物は何の問題もないおいしさだった。それで日本の何分の一の価格。

こんなことばっかりだから、日本の農業界から若手がいなくなる。人材をごっそり入れ替えないと無理なんじゃないだろうかと何度思わされることか。
最後の言葉だけには同意します。

『先頭に立って輸出の旗を振らない政府なら、なくていい。』

https://newspicks.com/user/190856?ref=news-summary_2256016

この内容を3つにしぼって説明してみましょう。



輸出を妨げる3つの要因

  1. 量より質を狙う
  2. やる気のある人材がいない
  3. 遅い

量より質を狙う

面積が狭く、農家数も多い日本では、どうしても量を増やすよりも一つ辺りの単価を高くする付加価値戦略の方向に行きがちになってしまいます。その結果、膨大な人口を要するアジアマーケットの要求を満たすことができず、ゲリラ的なピンポイントの戦略しか選択肢がありません。

その間に中国の強権が発動して、日本のパクリ品種からの低価格低品質の物量作戦がマーケットを席巻することになります。既に、リンゴの『フジ』を代表として日本は一度負けているのですが、あまり学んでいないようですね。

 

やる気のある人材がいない

ベトナムで聞いた話が全てを物語っていると思います。『100人視察に来るが、実際に進出するのは1人』。

これまでに何度もこうした話は出ており、実際に現地の商談会などに参加した方々は数多くいたはずです。しかし、おそらくそれらの人々は安定を求めるJA関係や公務員に近い方々ばかり。本気で現地進出をしようという人たちでは無かったのでしょう。失敗してもいいから、このような仕事を若手に回して、永住するくらいのつもりで現地へ行く人材を育てなければならないと思います。

 

遅い

こんな話をここ十数年ずっとしているのでしょう。まだ日本農業はビジネスのスピードではなく、農業のスピードで動いています。その結果、毎回チャンスを逃している間に世界はどんどん目まぐるしいスピードで動いていき、何度もタイミングを逃しています。

私は薄々、実はもう完全に遅いんじゃないかと思ってはいますが、何が起きるかは分からないので、できるだけ選択肢の幅は広げておきたいと思い、時折こうして話題に触れています。ですが、完全にビジネスチャンスは逃していると言っても過言ではないでしょうね。

 

まとめ

ということで、日本農業が輸出をできないのは、変われないから

リスクを恐れて、変わろうとする人々を変わりたくない人々が押し留めている。それが全体の動きを停滞させ、その結果世界のマーケットから置き去りにされている。……これは農産物に限らず、工業関係でも皆同じ構図ですね。

先日、経産省からの日本社会に対する提言が話題になりましたが、それはまさにこういう部分を表しているのだと思います。

経産省若手の提言「ヤバイ感がすごい」 「2度目の見逃し三振は許されない」

さて、それではどうしたらいいか?ということですが、それは最も簡単でありながら、最も難しいこと。『人間を交替させる』以外に無いでしょうね。これをやるには、覚悟が要りますから。

個人的には、農協関連企業のトップを外国人CEOにして欲しいと勝手に思ってます。

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