海外農業の歴史 その2

      2017/04/09

前回は、海外での農業は「農業ができる先進国」と「農業ができない先進国」、そして「農業がまだ未発達な途上国」という地域に分けられると書きました。

今回はその続きです。

農業ができる先進国

「農業ができる先進国」の間では、他の産業と同じように競争が進み、その結果経営的に優れた所のみが残るようになりました。また、国家によっては国と連動した政策的取り組みにより、世界的シェアを確保する所も出てきます。

最近、日本で話題になったのは、トマトを代表とするオランダのスマートアグリシステムです。完全制御型の工場を作り、人工的に最適環境を整えて植物を栽培することにより、世界トップの収量が採れるようになりました。他にも、アメリカの穀物やオーストラリアの果樹、ドイツの畜産加工品など、それぞれの国独自の食品に特化し、世界を視野に入れて経営をする所のみが残ってきました。

この過程において、当然ながら合理化が図られてきます。ドイツの場合、バラバラな場所にあって非効率的な農地を各経営体ごとにまとめるため、国の農業政策により、農地を流動させてまとめる動きが起きました。これは既に、10年ほどかけて行われてきたようです。ようやく昨年から日本でもこれと同じ仕組みが動き始めましたが、法律によって地主の権利が確保されているため、実現するまでにはまだまだ時間がかかりそうです。

市場原理による淘汰が進まない日本

こうした国々においては、経営が再優先されるため、市場から排除される所も出てきたはずだと思います。日本の場合、通常ならば市場原理に晒されて淘汰されるはずの経営体すらも、国家食料安全保障の観点から「無くしてはならない」と、公的資金を注入し、守ってきました。その結果、合理化も進まない、生産量の増加によって供給過剰、価格の低下と、市場原理とは全く逆の状態のまま残ってきたと言えます。

当然ながら、守りに力を入れてきたため、攻める力が全く無く、世界における日本のシェアといえば「ほとんど無い」という結果になってしまいました。現在は、そうしたハンデを埋めるためと、これまで歪んできた体質のギャップを埋めるために四苦八苦している、というのが正直な所だと思います。

……もう自力で立てないため、国から車椅子をもらっていたのが、そんな余裕が国自体に無くなってきてしまったんですね。

そうこうしているうちに、海外マーケットはそれぞれの国の得意分野を活かした食品によって、ほとんどのシェアが取られてしまいました。日本の商品は、ごく僅かの富裕層向けに高級品として扱われる程度になっているのが現在だと言えます。

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