パーマカルチャーの三姉妹が日本で広まらない理由

      2017/04/09

パーマカルチャーを学んだ人は、『三姉妹(スリーシスターズ)』という話を聞いたことがあるだろう。これは、トウモロコシを植えた場所に、同時にインゲンマメとカボチャを植えると、相互支援効果が得られて全てよく生育するようになる……というコンパニオンプランツの代表的な栽培方法だ。しかし、一時かなり有名になったこの方法は、日本では全く普及しなかった。今回はこの事について考察してみよう。



パーマカルチャーの三姉妹が日本で広まらない理由

まず、この方法の理屈だが、最初に伸びるトウモロコシを支柱代わりとしてインゲンマメが巻きつき、マメ科による窒素固定によって土壌養分を補給、そして地生えのカボチャが日陰を作って土壌を保護する……という話なのだが、実際に私が日本で試してみた所、全くうまく行かなかった。途中で雑草が繁茂してしまい、ほぼ全ての作物が負けてしまうのだ。

正確に言えば、できることはできる。だが、とても健康的とは言えないし、バラつきも大きい。そして完全に枯れてしまうものも出てくる……といった感じだ。当時はただ、(うまく行かないな……)と思っただけだったが、東南アジアを見た後に、その理由が分かった。

その理由とは、『土壌と生育環境の違い』だ。

元々この栽培が生まれたのは、熱帯気候の国だ。土壌も紫外線と長い年月をかけた降雨によって風化し、CEC(塩基置換容量)も低下している。こうした状況の差が、この栽培方法の水平展開を阻害しているようだ。

率直に言って、日本の土壌と環境は「恵まれすぎている」。そのため、うまくいかないのだ。原産地の環境においては、まず土壌が劣化していることから、乾燥状況でも育つ抗紫外線能力を持った植物が必要となる。これがトウモロコシだ。

続いて、CECの低い土壌でも養分を自給できる植物……つまりはマメ科の植物が必要となる。これがインゲンマメである。そして、乾燥気味になってしまう土壌を紫外線と高温から守る作物としてカボチャが必要とされるのである。

つまり、この三姉妹栽培法は、劣化した土壌において、その植物同士の相互作用により成長を補い合う方法として考案された方法なのだ。なので、元々条件に恵まれている環境においては、この方法を行う理由がないどころか、より生育を促進させてしまい、結果的に雑草の方が成長してしまうことになる。

というわけで、一時は業界の一部においてもてはやされたこの方法は、その知見のみしか広がらず、実地においては全く広まることがなく今に至る……という状況なのだ。何事も、その背景や原因を深く理解しない限り、簡単には応用できないということなのであろう。パーマカルチャー好きの初心者の方は、ぜひ参考にして頂きたい。

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