日本で生まれつつある農業ベンチャーの種子

      2017/04/09

このサイトでは、散々日本農業界を酷評してきたが、業界という面ではなく個別経営体や技術などで見た場合、素晴らしいものはたくさんある。ただし残念ながら、堀江貴文氏が日本のテクノロジーについても言及している通り、周辺環境がそれらの事業や技術を邪魔する状況になっているので非常にもったいないのだ。

今回はそうした幾つかの日本農業の種について紹介してみたい。



◆十和田グリーンタフ・アグロサイエンス

まずはこのサイトでも初期の頃に紹介させて頂いた、【十和田グリーンタフ・アグロサイエンス】。現在、業界の間では知る人ぞ知る有望な資材として注目されているが、やはり初期の頃に感じていた直感は正しかったようだ。いち早く取り入れて実験してみたが、エダマメが水のみで実を付けた時、これは革新的だ……!と思ったものだ。

鉱物とは、生物の根源に近づく現象を内包しているため、この技術が持つポテンシャルは非常に大きい。そしてそれらを科学的に証明するための丁寧な実験と検証作業、そしてエビデンスに基づいた研究結果には非常に期待している所だ。これからの世界の食糧事情に対しても、かなりインパクトの強い影響を与えるのではないかと思う。

また、よくお世話になっている、商社経験者である担当者の方のマーケット感覚やロビイング能力についても申し分ないので、これからのさらなる飛躍が期待できる会社である。

◆農業を科学する研究会

こちらも、日頃からよくお世話になっている農業コンサルタントの方が中心となって関わっている、新たに最近発足した研究会である。おそらく世界で誰も専門的に研究して事業へと結びつけてこなかったのではないかと思われる、『土壌の物理性』に関する研究を行っていくとのことである。

私も初めてこの『物理性』に関する話を聞いた時には、目から鱗が落ちたのを覚えている。新たなカテゴリに注目してそれを生態系と結びつけるというのは、非常にイノベーティブな取り組みであるため、これからの活動が楽しみである。

また、中々事例としては存在しない、『現場の農家が中心となって進めていく研究会』であることにも注目である。おそらく初期の頃からこの分野に注目して参画する農家の人々というのは、次世代を中心となって担っていくような、技術力の高い農家となっていく可能性が高いのではないかと思われる。

◆閉鎖型植物工場

日本が国を挙げて推進している、LED照明などを使った屋内環境での植物工場だ。残念ながら、実際に拝見できた事例はまだ無い。

ただし、ニュースを見ている限りでは、実用化もそれほど遠い未来ではないと思われる。これまでは初期投資金額の高額さとランニングコストと利益のバランスが取れていなかったようだが、どうやら回転率を高めたり、無菌状態にしてコストを削減したり、バーティカル型による高密度化の実現により、採算が採れそうな形も出始めてきているようだ。

何より、この形態の未来には、宇宙での農業の可能性が見えてくるため、非常に期待したい所だ。尚余談だが、どうやら日本はこのパターンでシステムごと輸出を行うことにより、農業関連での輸出目標を達成させるつもりなのだろうと思われる。

◆自律分散型小型ロボット

こちらも国が予算を付けて研究開発されつつあり、実用化が近づいている状態だというのは知っており、以前から興味を持っていたのだが、どうやら何故か担当者の方に避けられてしまい、グループから外されてしまったのでそれ以来不明である。

知人農家たちが試験をしている限りでは、近年の日本の農業界においては非常に普及可能性のあるソリューションであり、将来的には世界でも重要になるシステムになるであろうことが予想される。



◆まとめ

これらのように、日本農業界にも世界をリードできるような技術の種はたくさん生まれている。がしかし、再三書いている通り、それらを活かすベースとなる業界の基盤が存在していないのが悔やまれる部分だ。ヤンマーたちが取り組んでいる、GPSを使った自動運転トラクターなども、海外圃場での研究が進められている。

最近の日本の農政や食関係のメディアなどは、どうやらやたらと芸能方面でのタイアップを進めたり、消費者やマーケット側へのアプローチに熱心なようなのだが、それらは全て需給バランスを崩してきてしまったこれまでのツケが回ってきているだけなのではないかと思うのである。

今や、日本全体でそうしたバランスが崩れ、各業界でも問題が浮き彫りになって来ているが、国家予算を投入して改善を行っているような分野は少ない。……常に農業だけが優遇されるような状況には、毎回違和感を覚えるのである。そうした取り組みの結果、世論にも何だか間違っていたりあやふやな情報が流れて市場が歪み、その対応でまたさらにコストがかさむ……といった状況になっているのではないだろうか。

日本農業界の中でも、些細な思想の違いにより対立している様子などもよく見かけられることがあった。しかし度々書いているように、もっと大きい視野で見た場合、細かい違いについて拘っている場合ではないと思う。

ぜひ今回紹介したような種を進化させ、さらには将来期待できる同様の種子が次々と生まれるような、やるべき人間がやりがいのある、平等な環境を作って頂きたいものだと、若手の一人としては思うのである。

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