農業生態学についての序文

      2017/05/13

私が研究するテーマは、『農業生態学』です。これからこの部分について、少し紹介させて頂きます。




農業生態学とは?

ざっと調べて見た限りでは、幾つかの農業生態学が意味する所としては、『農地の中の生態系』として研究されているものが多いようです。しかし私の場合、これを逆に『生態系の中の一つの形態としての農地』として捉えることとしています。

この二つがどう違うか?ということに関してですが、おそらく前者の『農地の中の生態系』という考え方の方は、『農地の中にどのように生態系ができており、それが栽培にどう影響してくるか』という視点からの捉え方なのだと思います。

実際に圃場の中の生態系が整ってくると、植物の生育や病虫害防除など、様々な面からの好影響が出てくるので、当然栽培にとってプラスとなります。この事は、近年になって有機農業が普及し始めてから、徐々に分かってきたことです。

農地を自然の一部として捉える

もう一方として、私の考える『生態系の中の一つの形態としての農地』とはどういうことか。これは、生態学における『遷移』という考え方がポイントです。

今回は詳細な説明は省きますが、地球において地上に生命が生まれ、この生態系が発達してくる過程において、植物というものは一年生草本類から、徐々に多年生植物へと変わり、最終的には森林へとその植生(植物の集団としての群集)を変えていきます。

そして最終的には、極相林という比較的安定した植物相へと変わっていくのです。(※最近では、この極相林にもその先があるのではないか?……と言われています)

要するに、簡単に言えば『植物は全くの無機土壌から次第にその種類を変えながら様々な植物が育っていき、森林を目指す』ということが言えます。この『遷移』という動きの中で、その途中途中の状況に応じて、優占する種類の植物がある程度決まってきます。

例えば、キク科やマメ科などのパイオニア植物と呼ばれる者達。これらが最初に土壌に生え始め、そこからまたさらに他の種類の植物へと移り変わっていきます。このような現象を農業に対して活かせないか?……というのが、私の研究するテーマです。

これを簡単に表すと、

①→②→③→④

という風に、植物の種類が変わっていくとします。しかし現在の農業ではこれを、

②→②→②→②

と、同じ状態で保つ……ということが行われています。

これは自然状態においては負荷がかかることであり、つまり、自然に対して『人間による撹乱』という行動を行うことによって、その植生を維持しているというのが『農業』ということでもあります。負荷がかかるということは、イコール『コストがかかる』ということでもありますので、無駄な部分が生じてくる事にもなります。

ですので、この無駄を如何に解消して、スムーズな耕作を行うことができるか?……ということを考えるのが、私の考える『農業生態学』ということになります。これから、そのテーマについて少しずつ触れていきたいと思います。

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