日本の農産物を巡る海外との情勢の変化

      2017/04/09

TPP交渉も順調に進んでいるようで、日本と海外を巡る農産物の動きにも変化が出てきたようだ。

とそこでこんな記事があった。

訪日客に農産品拡販 旅行・小売りの業界団体、検疫を支援

どうやら日本は輸出だけでなく、お持ち帰りの農産物にも力を入れ始めたらしい。これはいい面と悪い面があるので、順に説明していこう。



農産物輸出の課題

まず、これまでの状況だが、海外に農産物を輸出しようと思った場合、病害虫の侵入を防ぐために検疫という方法が必要となる。これは各国によって規定が定められているらしい。日本にも、持ち込みが禁止されている農産物があり、それらは勝手に国内に持ち込むことはできない。

次に、衛生面と鮮度の問題がある。まず衛生面に関しては、輸送の最中にカビが生えたりして駄目になってしまうような物もあるので、純粋に食品としては販売できなくなる。実際に香港にミカンを持っていった際にも、あっという間に青カビが生えてしまった。……これは、菌が繁殖しやすくなる糖度(果糖など)が高いものほど危険性は上がるので、特に高糖度でおいしいと言われている日本の果物などはさらに危険性が上がる。

もし検疫で引っかかってしまった場合、燻蒸処理といって薬品で殺菌する措置が必要となるのだが、農産物に関してはもうこれをやってしまった時点でほとんど利益は無く、捨てるのと変わらない……と、知り合った商社の方が言っていた。

続いて鮮度に関してだが、当然ながら新鮮な方がおいしい農作物はたくさんある。だが、基本的に翌日か翌々日、遅くとも数日以内には届くインフラが整っている日本と違い、当然ながら海外に送る場合は時間がかかる。空輸なら確かに早いが、それでも検疫の時間がかかり、現地からさらにまた店頭まで並ぶのにも時間がかかることになる。なので、いくら日本で食べておいしいからと言って、単純に輸出しても同じ品質が保たれるとは限らないのだ。

物流の問題

そして日本にはコールドチェーンという、品質を保ったままの鮮度で輸送する技術があるのだが、まだ発展途上だったり、農業技術やリテラシーが発達していない海外においては、それが守られるかどうかは分からない。さらに、値段もそれなりにかかってしまうので、品質が下がったものを高価格で売る羽目になってしまうというのも問題である。

これらの理由から、船便が使われることもあるのだが、当然のように一ヶ月近く時間がかかるため、品目によっては輸出することすらできないものも多々ある。昨年はまさかのイチゴを船便で運ぶ所も出てきたわけだが、そのためにかなり早摘みして糖度も低いイチゴを輸出した所で、ブランド戦略としてはどうなのか……?という疑問もある。農作物輸出と言ってひと括りに語られがちだが、このように品目によって大きく状況が異なるのだ。その辺りを詳しく分析して考えなければならない。

そして、日本は農産物の価格が非常に高い国の一つでもある。そうした国が発展途上の国へ農産物を輸出したとしても、半額以下の価値の農産物もあり、果たして買ってもらえるのか……?という懸念も出てくる。

まとめ

そんな中で出てきたのが今回の方向のようなのだが、上記に挙げたような懸念がある中で、果たしてどれだけうまく行くのだろうか……?青果に関しては、日持ちするようなごく一部の物しか難しいような気がする。先程も書いた通り、農産物のリテラシーが低い国が爆買いしてお持ち帰りしてくれた所で、その衛生面や品質は大丈夫なのだろうか……?

ただ、最近の円安の動きにより、また状況が変わってきているのも事実であり、今後も注目したい動きである。

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