無機資材という可能性

      2017/04/09

十和田グリーンタフ・アグロサイエンス株式会社にご協力頂き、微生物資材とIPM(総合的病害虫管理)についての連載を開始しました。最初に、この連載に関わる背景について説明しておきたいと思います。



IPMとは?

IPMとは、化学農薬だけに頼らず、様々な方法を用いて作物に発生する病害虫へ対処しよう、という考え方です。これは今や、農業先進国の間では、もう当然のように浸透している概念です。

何故このような概念が生まれたかというと、主には『耐性病害虫』の出現という理由があります。

同じ種類の化学農薬を使用し続けた場合、突然変異によって、使用される農薬の成分に抵抗性を持った病害虫のみが生き残る場合があります。そしてその生物が繁殖を繰り返した場合、次第に農薬の効果が効かなくなる病害虫が増えてきてしまう……という問題が起こってくることが分かりました。

例えば、アブラムシなどは単為生殖と言って、繁殖するためにオスとメスの両方が必要となるのではなく、メスのみでも繁殖することが可能な生物なのですが、こういった繁殖能力の強い生物に関しては、よりその問題は大きくなります。恐るべきは生態系の進化であり、その適応能力だということが言えますが、農業において、この問題は致命的なイタチごっこになってしまいます。

そのため、化学農薬だけでない多角的な対応で病害虫を防ごう……という概念がIPMという考え方です。




IPMにおける様々な手法

このIPMには、対象生物の天敵となる生物を使用する『天敵農薬』や、生物が生み出す自然毒を利用した『生物農薬』、さらには物理的に『手で取る』『耕起する』といった旧来の方法などがあり、こうした様々な方法を組み合わせながら、最も効果的な病害虫対処を行うことが必要になってきます。残念ながら、未だ日本ではこうしたIPMの中でも、自然界の生物を利用した農薬に関してはまだまだ発展途上であり、イスラエルなどの先進国に比べると、非常に遅れています。

そんな中、TGAは日本のベンチャーでありながらも、この分野に関してかなり先進的な取り組みをしている企業です。

特にこの『十和田石』という資材に関しては、これまでのどの農薬にも当てはまらない、天然の無機資材を利用した防除システムだと言うことができるでしょう。この効果やその根拠についてはこれから少しずつ触れられていくかと思いますが、その着眼点には私も目から鱗が落ちました。

こうした新しい発想の病害虫防除技術。これが実用化されていくとともに、このような発想で農業をさらに発展させていく人々が増えていくことを願っています。

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