海外にイチゴ栽培を展開する方法 #イチゴ栽培

      2017/04/09

海外では日本のイチゴは大人気だ。それは当然で、何故かと言うと海外イチゴは『野菜』の分類に入るからである。

下記リンク先を見てもらえば分かる通り、昨年東南アジアへ視察をした時にも屋台のイチゴとともに砂糖と塩と唐辛子パウダーを渡された時には、どうしたら良いかと思ったものだが、せめて砂糖をかけないと味のないフルーツを食べている気分になるので、まあそれも仕方ないのか、と思った。



農業における海外進出の注意点

海外で日本式の高品質イチゴ農園を始める時に注意するべき12のこと

以前から注目し、応援している同じ南信地方の彼が、いよいよ新米農業コンサルタントとして海外で活躍し始めたようだ。実は以前、一緒にイチゴをやらないか、と声を掛けたこともある。だが、記事にある通り、今ではもうイチゴの海外展開はバブルなので、自分で栽培を行うことは止める方針だ。

というのも、詳細はここでは書けないが、今のイチゴバブルを起こした原因の一因は筆者にもあり、まさかこんなにわんさか出てくるとは思っていなかった。盛り上がっていい部分もあるが、反省している部分もあり、それは何故かと言うとリンク先の通り、『全然能力がないのに勢いだけで参入する』人々が出てきたからである。

その辺は、以前の記事にも書いた通りだ。

なので、上記リンク先の記事に関連して、ここで補足事項を追加しておこう。

1.日本の甘くて収量が多いイチゴ品種を確保する

最近では、アメリカに露地でもおいしくなるイチゴ品種が出てきたという話だが、世界で最もおいしいイチゴ品種を開発しているのは日本である。味のほとんどが品種で決まるので、これは最も重要な部分だ。だが、品種は種苗の権利が保護されているので、勝手に持ちだしていい物ではない。

残念ながら、農家の中にはリテラシーが低い人も多いので、勝手にパクられる可能性もある。特に海外ならば、尚更だ。勝手に貴重な品種を盗られて広められたら、その事業が終わりになるだけでなく、国家レベルでの損失が生まれることになるのをきちんと認識しておこう。

2.一季成り性品種か四季成り性品種か決める

イチゴという植物特性を理解していないと、季節に応じた旬の味を引き出すことができないばかりか、実がならないこともある。勢いだけでどうこうなる問題ではない。

3.信頼できる現地人のビジネスパートナーを見つける

現地圃場の運用において、最も重要な部分がここだ。ハッキリ言って『現場監督』がその事業の要となる。ここを甘く見ていると、あっという間に事業は頓挫する。

4.イチゴ栽培のプロ・専門家を雇う

イチゴ屋さんにもピンキリがあり、委託する場合など、農家を見る目が必要とされる。だが、誠実で腕のある人ほど日本での事業が安定しているため、海外進出はしたがらない。というかできない。そうでない人は海外にも行けると言うかも知れないが、余程の人でない限り、日本でのやり方をそのまま持ち込んで失敗するケースが多い(らしい)。筆者が昨年行った香港での栽培も、過去にそれで失敗していた。

5.現地で導入品種を使って試験栽培を行う

農業は季節的な問題を抱える産業なので、常に試験と実証の連続だ。いきなり机上の空論だけで収支計画を立てると、あっという間に頓挫することもある。足し算でしか増えていかないのに、失敗すると一気にゼロで掛け算になるのが農業なのだ。

6.マーケットリサーチ・市場調査をする

当たり前のことなのだが、やらない人やそもそも言語が通じずにできない、という人も多い(らしい)。そして、うまいモノを作れば売れるだろう、というのは大きな見当違いだ。マーケット特性をきちんと理解しなければ売れないのは、日本に限らず、どこだって同じである。

7.安くて高水準な労働力を確保する

日本の一般的なサラリーマンと同じ感覚で海外の農家を雇用すると、まず失敗する。農家とサラリーマンの感覚は違うし、日本と海外ではさらに感覚が違うからだ。特にイチゴは繊細なので、野菜イチゴに慣れている人間だと、燦々たる結果になるだろう。

8.適正な栽培施設を建設する

例えば日本式ビニールハウスと、中国のハウスでは違いがあるのを知っているだろうか?そしてそれはどんな違う結果が起こるか分かるだろうか?現地の人間に建ててもらうのと、日本から職人を呼んで建ててもらうのはどちらがいいか?など、そうした知見はあるか?

9.海外の気候に合った栽培技術を導入する

日本でしか栽培をしたことがない人だと、気候の違いについての認識が甘い。生態学的な知識がないと、適していない地域で無理に栽培しようとして、結局全てパーになったり、経営が軌道に乗らない場合が起こる。

10.コールドチェーン(冷蔵運搬方法)を用意する

主に海外でイチゴを栽培しようとするのは、現時点ではアジア諸国がメインになるのではないかと思うのだが、熱帯地域に分類される地域では、このコールドチェーンが正に生命線となる。結局は栽培だけでは駄目で、総合的なインフラ構築とプロデュースが必要になるのである。

11.消費者の反応を調査する

上述したのと同じように、栽培時だけでなく実際に消費者が口にする所まで一貫して手掛けなければ、繊細なイチゴという食品は品質を保てない。と同時に、海外では日本とは味覚の差もあるため、思ったような反応が得られない場合もある。フォローアップも非常に重要である。

12.すぐに競合イチゴ農園が現れるので、ブランディングしよう

まさかこんなに広がるとは思っていなかったのだが、現在の農業界には余剰なエネルギーである資金がわんさか注ぎ込まれているので、気を抜いているとあっという間に市場は席巻される。シェアを獲得するのと同時に、ブランドを作っていくことは大事だ。農業というのはなかなか時間がかかる産業なので、いち早くしっかりとした体制とブランドが作れれば、なかなかひっくり返されることは無いだろう。



まとめ

さあ、もし海外でイチゴ栽培を考えていた人がいたとしたら、参考になっただろうか。既に日本国内ではイチゴはレッドオーシャンである。その競争は新規就農者も含め、これからさらに過酷になっていくことだろう。だが、今回書いたように課題は非常に多いが、それ以上にマーケットとしてのパイは大きいのが海外という、文字通りブルーオーシャンである。誰かが下手を打って全体の日本のイチゴのブランド力を落とさないためにも、この記事を参考にしてぜひ戦略的に事業を進めて欲しいものだ。

というわけで結論としては、香港で実際に栽培を経験し、そこでの課題や起きうる問題も知った上で、それなりの品質のイチゴを作ることに成功し、現地の人達との交流経験や多少の外国語でコミュニケーションもでき、植物と生態学の知識も持ち合わせた上で、業界のキーポイントとなる資材や小売系の先進的な方々との面識もあり、しかも土地に縛られずにフリーランス農家だという人材は、筆者を置いて他にはいないだろう。

もしご依頼があれば、栽培のみならず事業全体においての総合的な農業事業のポイントのご相談を受けることが可能です。

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